自炊の流れは止められない
2011-09-07


9月5日、講談社・集英社など7出版社と作家・漫画家122人が、いわゆる自炊を請け負っているスキャン業者に質問状を送付した。
 著作権者の許可を得ないで複製をつくっていると解釈され、著作権法違反の疑いがあるとされるからだ。
 しかし、この問題は、スキャン業者(自炊代行業者)がどうのという話ではない。このような業者が出現する以前に、個人でひろく自炊が行われているからだ。個人が自分の目的(保存や電子化して検索しやすくするなど)で複製をつくる場合は、なんら違法ではない。

 そして、複製(自炊)はすばらしく簡単にできる。本をばらして各ページの1シートにする裁断機とシートスキャナがあればいい。データ化しておけば、保存やバックアップが楽だし検索も便利。
 誰もが自炊をやるというわけではないが、この流れは止められないと思う。VHSのアナログビデオのコレクションをMPEG2やMP4に変換するのと同じことだ。

 ただ、ぼくは自炊はしない。もっとも大きな理由は、本をバラバラにしたくないからだ。そんなこと、本がかわいそうでとてもできない。

 技術的にできることは、法律でいくら規制しても必ず実行される。スキャン業者に抗議してもあまり意味はないだろう。個人が簡単にできることを代行しているにすぎないからだ。
 自炊したデータがネットにあげられるなどして、頒布・販売が行われた時点で、法を適用すればいいい。
 だいたい今回の一部の出版業界からの抗議は、自炊=頒布という前提に立っての抗議である。頒布しているという事実をつかんでいるのなら、それに法を適用すればいいのであって、自炊や自炊代行業者を攻撃するのはお門違いだ。

 いずれにしろ、自炊に対抗するには、本のまま残しておきたいと思ってもらえる魅力的な本をつくることしかないと思う。

 それに、自炊=頒布されて影響を受けるのは、出せば何十万部も売れる人気作家の本であって、ぼくのようなペーパーバック・ライターは、たいして影響はない。いや、まったくといっていいくらい無い(w
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